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命令を出力しケーソンの位置制御を行うシステムである。自動設置システムは引船を使用した引船方式、引船を使用せずアンカーを用いたアンカーワイヤ方式の2方式でケーソンの据付作業を行うことが可能である。これら2方式のうち、引船方式による自動設置システムの水理模型実験結果については他の会議等ですでに報告しているため1)〜5)、本論文ではアンカーワイヤ方式による自動設置システムの実験結果について報告する。
2.現行の防波堤ケーソンの据付手法
防波堤ケーソンの据付工事はケーソン設置海域の気象状態、特に波浪条件により大きく左右される。Fig.1は、太平洋に面した5港湾で実施されたケーソンの据付工事の調査結果を基に、工事日における波浪状態(有義波高および有義波周期)を示したものである。●および△は、それぞれケーソン据付の実施および中止を表している。この図から、現状では、一部の例外を除きおおむね有義波高1.0m以下、有義波周期9s以下の波浪条件で、ケーソンの据付が実施されていることがわかる。Photo1は現在のケーソン据付作業時のウインチ操作の状況を示す。ウインチ操作員はワイヤの直近で作業しなければならないことから、しばしば危険にさらされる。ここで自動設置システムを用いれば、ウインチ操作を自動化できるため、作業員の安全性の確保に寄与することができる。またPhoto2は現在のケーソン据付作業時のケーソン上の作業状況を示す。現状では多数の作業員がケーソン上で作業をしているが、自動設置システムを用いたケーソン据付手法ではケーソン上の作業員を無人化でき、据付作業の省力化を達成できる。

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Photo 1 Winch operation under current method

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Photo 2 Working situation of workers on the caisson

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Fig. 1 Wave conditions during caisson installation

3.防波堤ケーソンの自動設置システムの開発
本研究で開発したケーソンの自動設置システムの概要

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Fig.2 Block diagram of automatic installation system

 

 

 

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